企画・製作 (社)農山漁村文化協会

好評発売中!

岡崎好秀

岡山大学歯学部 小児歯科



    
 

 スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジュラシック パ−ク」や「ロスト ワールド」が 公開されて以来,恐竜の大ブームです。
何億年も前に地球上を支配していた恐竜。
大人でも太古の時代のロマンを感じるのですから,子ども達が興味を持つのも当然といえるでしょう。
さて私は,子ども達が恐竜に興味を持てば,それを通じて「歯」を教える方法はないかと 思い資料を探します。おかげで買った恐竜の本の背表紙を測ると,1メートル以上・・・。
日本の博物館はもちろんのこと,ヨーロッパ各国の自然史博物館,さらには恐竜の"ふるさ と"のモンゴルにまで足を延ばしました 

 ところで「ヒトの歯は一度しか萌え代わらないけれど,サメや恐竜等の歯は何度も萌 え代わるので,うらやましい。」という話をよく聞きます。
あなたもそう思ったことはありませんか?

でも本当にそうでしょうか?

この素朴な疑問に対し本シリーズ第1巻では,「恐竜が語る歯とは何か。」は恐竜を題材に,人類の進化の観点からヒトの歯の"素晴らしさ"について考えてみました。


主な内容:

最初に発見された恐竜の"ある部分"とは,どこだと思います??
きっと,大きな骨だと思うでしょう。
ところが,それは何と「歯」だったのです。
この歯が発見されていなければ,ジュラシック パークやロストワールドなど恐竜が登場する映画は,存在しなかったかもしれません。きっと,新しくできた大阪のユニバーサルスタジオの見どころも一つ減っていたことでしょう。

さて最初に見つかった恐竜は,「イグアノドン」という名前です。
ところで「イグアノドン」の命名の由来は,何だったのでしょう?
実は,「イグアノドン」とは,「イグアナの歯」という意味です。(イグアナの娘ではありません。)
この1本の歯の発見が引き金となって,恐竜の研究が始まったのです。

歯の発見がきっかけになって研究が,進んだのは恐竜ばかりではありません。
  最古の人類の直系の祖先といわれているラミダス猿人も,歯が最初に発見されました。
有名な北京原人もジャワ原人も最初に見つかったのは「歯」だったのです。

でも,どうして歯が最初に見つかったのでしょうか?
歯の最も外側の部分であるエナメル質は,体の中で最も硬いのです。
  でも,何故そんなに硬い歯が簡単にむし歯になるのでしょうか?
実は萌えたばかりの歯は,軟らかくてむし歯になりやすいのです。
 それでは,あなたの歯を何億年も残すためには,どうすればよいのでしょうか?  

肉食恐竜の歯のヒミツ!!!   肉食恐竜の歯は,とってもよく切れるのです。
  そのヒミツとは,いったい何でしょう?   それはビデオを見てのお楽しみ!!

ところで恐竜は,奥歯でよく噛まないで,獲物を丸のみにして食べます。
 人間だったら,きっと消化不良でお腹が痛くなることでしょう?
 ところが,恐竜は噛まなくても,消化不良を起こさなかったようです。
 それは,恐竜のウンチを見るとわかるのです。
 エッー!恐竜のウンチを見たことあるの?と思われるでしょうが
 恐竜のウンチが化石「糞石(ふんせき)」となって残っているのです。
 そう!ウンチが化石になるためには,よほど消化されないと化石として残らないのです。

それでは,恐竜が消化不良を起こさなかった理由とは何でしょう?
さまざまな説があります。
たとえば,A.強力な消化酵素を持っていたという説 
B.牛のように胃が,たくさんあって反芻していたという説。

その秘密,恐竜は胃の中に石を持っており,食べ物をこなしていたのです。

あなたは,思いませんか?
  「恐竜の胃石っていいなあ!!便利だなあ!!僕も欲しいな!!
         だってお母さんに30回も噛めって言われないもの・・・」
 この素朴な疑問に答えられなかったら,私の負けなのです。

この答え知りたいでしょう!
  でもあまりお話しをすると,ビデオの出版社に売れなくなるから・・・って叱られそうです。   この先を知りたい方は,ビデオを買ってね!

ところでこのビデオシリーズの収益金は,ユニセフを通じアフリカ難民の子ども達の薬代となります。
サハラ砂漠以南の南アフリカでは出生1000人あたり5歳未満で死亡する子供たちは175人だそうです。(ちなみに日本では6人)
本ビデオシリーズ5巻セットで抗生剤のアンピシリンなら70瓶,下痢による脱水症状を防ぐ経口補水塩なら200袋をプレゼントすることができます。
このビデオを買っていただく余裕がなくとも,誰かに勧めてあげることで,
功徳を積み,極楽浄土へ行けるという摩訶不思議なビデオなのです。

どうしても解答が知りたいという方,一つだけヒント!
それは,グリム童話のお話しの中に隠されています。

解答がわかれば誰もが,胃石ってちょっとマズイぞと思います。

ところで,人間には胃石の代わりになるモノがあります。それはいったい何でしょう?
これこそ,人間の奥歯(臼歯)なのです。
最初から「臼歯は,食物をすりつぶす働きがある」と"当たり前"に教えても,子ども達にとっては,何の感動も得られません。
ここで"進化の妙"を伝えたいと思うのです。

ところで多くの恐竜にとっての歯とは,手の代わりに獲物を捕まえる道具にすぎません。
しかも歯は,すべて同じ形(同形歯性)をしています。これは,魚類やカエルなどの両生類,そしてヘビやワニなどの爬(は)虫類の歯の特徴でもあります。
恐竜や爬(は)虫類の食べ方は,丸飲み食べです。このことは,胃から後が消化器官であることを意味しています。

一方, 哺乳類は,口の中に前歯・犬歯・臼歯などいろいろな形の歯(異形歯性)があり,これは,哺乳類の歯の特徴です。

そして哺乳類は,臼歯,食べ物を噛むことで,口も消化器官の一部となります。そのためエネルギー効率もよくなり,温血(恒温)動物としての進化が始まるのです。

ところで人間の永久歯は,全部で28本です。(注:親知らずを除く)
前歯が8本,犬歯が4本,奥歯が16本です。
これを割合になおすと,前歯:犬歯:臼歯=2:1:4になります。

   どうして,この割合になったのでしょう?

この割合は,人間にとって理想的な食物摂取の割合を意味しているのです。
すなわち,前歯:犬歯:臼歯=2:1:4=野菜:肉:穀物 
   この割合で食べることこそ,健康な食生活のヒ・ミ・ツ!なのです。

さて,話しは代わりますが,サメは,たった一か月ですべての歯が生え代わります。 でも本当に,何度も生え代わる歯のほうが良いのでしょうか? 人間は,魚類から両生類(カエル),そして爬虫類(ワニ・ヘビ)を経て哺乳類に進化してきました。 この間約45億年。 この時の流れのなかで,必然性があったからこそ,生え代わらない歯が誕生したと考えられます。

それではサメの歯の弱点とは何でしょう? 実は,何度も萌え代わる歯(多生歯性)こそが弱点なのです。 何度も萌え代わる歯は,別の表現をしますと,「すぐ抜ける歯」すなわち「歯の根のない歯」でもあるのです。 歯の根は,木の根と同じであり,なければ台風で倒れてしまいます。(注:これが,爬虫類までの歯の特徴。)

そう言えば,魚は,一度に何万もの卵から稚魚が生まれます。 ところが人間は,一人しか一人の赤ちゃんしか生みません。魚は,生存競争が厳しいからこそたくさんの稚魚を生む必要があるのです。 何度も萌え代わる歯も同じ理屈です。数が多いから良いというわけではないのです。

一方,哺乳類の歯には,歯の根・歯槽骨・歯根膜があります。   だから、哺乳類の歯は一度しか萌え代わらることができないのです(一生歯性)。 

(注:唯一の例外 ワニは歯槽骨があり,槽歯類に分類されています。ワニは爬虫類の進化形なのです。)

(注:実は,恐竜にも歯槽骨が存在していました。恐竜は,当初大型の爬虫類だと思われていましたが,歯槽骨や歯根らしきものが存在するので,爬虫類と哺乳類をつなぐ未知の生物であることがわかりました。)

歯根や歯槽骨があることは,抜けにくい歯であることを意味しています。 歯と歯槽骨の関係は、電球とソケットの関係と同じです。だからこそ噛んでも容易に抜けないのです。

ところで,ご飯の中に砂粒が入っており間違って噛んだら,とっさに口が開きます。
これは歯の防衛作用で,一定以上の力がかかると歯が壊れてしまうからです。
この役割をするのが歯根膜で,歯と歯が埋まっている骨をつなぎクッションの役割を担っています。

ヒトの歯は,一度しか萌え代わらないが、大切にすれば一生使えるようにできているのです。


あとがき

これまで歯科関係のビデオと言えば,むし歯や歯グキの病気(歯周疾患)の予防について語られたものがほとんどでした。 発想法を変えて,全く歯を磨くシーンの登場しない歯の話を考えてみました。「むし歯や歯周疾患にならないように○○する。」 と言う従来からの考え方は,passiveな考え方だと思います。本ビデオで紹介するように,歯は進化の中でかくも巧妙に出来ている。 だからその素晴らしい歯を大切にしよう!といった発想法の健康教育の方法が望まれていると思います。そんなことを考えて本ビデオを作成いたしました。


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