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歯のふしぎ博物館
館長 岡崎好秀
(岡山大学病院 小児歯科)
▲口呼吸を防ぐ”あいうべ体操”
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東日本大震災の後,被災地では呼吸器性の疾患が増加していると言う。 地震により破壊された建造物や津波とともに上陸したヘドロが乾燥し, アスベストや有害物質を含んだ粉塵のせいである。 ゴールデンウイークに被災地に行った友人から, 「マスクをしても喉はざらつき痛み,眼はショボショボ, 耳の穴も真っ黒になった」という話を聞いた。 このような現状で,口が開き口呼吸をされている被災者の方は,さぞたいへんなことだろう。 そんなことを考えていたら,被災地で“あいうべ体操”をしているニュースがあった。 “あいうべ体操”は,福岡の内科医 今井一彰先生が考案された 口呼吸を抑制する体操である。 |
▲あなたの舌は、口を閉じている時,
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実際,診療室でこれを勧めている歯科医師も多いと聞く。 さてこれまで、歯科界でも多くの顔面体操や舌体操が考案され, 介護の現場で応用されてきた。 しかし,これらがどれだけの効果を持つのか知らなかった。 そこで、試していただきたいことがある。 あなたの舌は、口を閉じている時, どこに接しているだろう? 1. 口蓋 2. 上顎前歯の舌側 3. 上下の前歯の間 4. 下顎前歯の舌側 この結果、口蓋に接しているのが理想的なのである。 選択した番号が増えるに連れ、舌筋の力が低下していると考えられる。 そして舌筋の低下は,口呼吸を招く。 今井先生は,口呼吸が原因で唾液分泌の低下 ・口腔乾燥を引き起こすとともに,局所や全身の免疫力が低下し 1:むし歯・歯周病・口内炎・口臭 2:インフルエンザ・扁桃腺炎・気管支炎 3:いびき・閉塞性睡眠時無呼吸症 4:扁桃病巣感染症 (アトピー性皮膚炎・関節リュウマチ・腎臓疾患・掌蹠膿疱症) などの原因となると述べている。 |
▲そこで“あいうべ”を
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そこで“あいうべ体操”を行ってみよう。 まず“あ〜”と言いながら口を大きく開く。 次に“い〜”と言いながら口を横に広げる。 そして“う〜”と言いながら口をすぼめる。 さらに“べ〜”で舌を思い切り前に出す。 これを大きな動きをしながら, ゆっくり10回繰り返していただきたい。 |
▲たったこれだけで,
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そして,もう一度舌が接している位置を確かめていただきたい。 いかがだろう? ほとんどの方が,舌が上がっていることを実感されると思う。 この体操を行う前に舌が口蓋に接していた方は, その面積も増加しているはずである。 これだけのことで,舌筋が鍛えられることは驚きである。 これを1日3セット行えば良いという。 この体操,口呼吸を余儀なくされている方々には朗報となるだろう。 参考:免疫を高めて病気を治す口の体操「あいうべ」 今井一彰著(マキノ出版) |