岡崎好秀
岡山大学病院 小児歯科
炎の103歳児 |
f地(しょうち)三郎先生のお名前をご存知だろうか? 福岡教育大学の名誉教授であり, 我が国で最初の障害者施設“しいのみ学園”の創設 者でもある。 これだけでも立派な先生であることがわかる。 しかし,さらに凄いことがたくさんあるのだ。 実は先生。 御歳,なんと百三歳。 毎週のように講演で日本各地を廻られているだけではなく, 毎年世界一周講演旅行ま でされている。 NHKの“百歳バンザイ“や敬老の日ごとに テレビに出演されているので,ご覧にな られた方も多いと思う。 |
NHKスペシャル |
世界一周講演旅行 |
先日,福岡のご自宅に訪問させていただいた。 しかし,どう見ても百三歳には見えない。 背筋はピンと伸び,歩くのも早い。 八十代の元気な方・・というイメージがぴったりである。 先日,敬老の日の取材にきた某テレビ局のカメラマン。 あまりにお元気なので上司から 「年齢が違うのでは?」と言われたそうだ。 確認のためパスポートを見せて,信じていただけたとのこと。 |
先生の食事風景 |
さて先生の若さの秘密。 まず,第一に「一口,三十回噛む」こととおっしゃる。 生後病弱であったため,母親から教えられたそうだ。 先生のお母様は,フレッチャーイズムをご存じだったのである。 それ以来,百年間にわたって,これを実践されている。 しかも三十回は,最低限の回数である。 歯科医師としては,先生のお口の状態が気になるところだ。 実は先生,七十五歳で総義歯のお世話となった。 その義歯で一口三十回を実践しておられる。 しかもレストランに行けば,ステーキを頼まれる。 餅や煎餅,たくあんやピーナッツ,何でも食べられるのだ。 |
噛める総義歯のおかげで,今の先生があることがわかる。 噛むことで唾液の分泌も促され, 義歯の安定性にも影響するのだろう。 まさに先生の健康の源は“噛める義歯”である。 これこそ“歯科医学の勝利”ではないか。 先生こそ,“歯科医師の宝物”と言える。 いやいや,それだけではもったいない, まさに“日本国民の宝物”なのである。 |
“1口30回噛む”ことが |