岡崎好秀
岡山大学病院 小児歯科
![]() サルの目の前に |
暑い日が続きスイカのおいしい季節になってきた。 そこでスイカの話題を一つ。 「サルの目の前でスイカを割って与えると,どこから食べるだろうか?」 人間と同じように赤い実か? サルは木の葉や樹皮を食べるから皮なのか? それとも硬い種から食べるのか? どれが正解だろう? この問題。 食育にまつわる講演会で話すと,誰もが興味を持って聞き入る。 |
人間と同じ赤い実か? |
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![]() この話。 |
正解は「種」である。 サルは,まず指で種をほじくって食べる。 種がなくなった後,赤い実にかぶりつく。 実はこの話を知ったのは,24年前。 「人間はなぜ歯を磨くか」(石川 純著 医歯薬出版)に書かれていた。 その時,これは本当の話なのか確かめたいと思った。 以来20年間。 獣医師,生物学者,そして動物園の関係者に会うたびに質問してきた。 その結果。 「わからない。」 「見たことがない。」 「試したことがない。」 という回答ばかりで確信を得ることができなかった。 |
![]() やっと「ズバリ!種です。」 |
やっと昨年,始めて「ズバリ!種です。」と答えられた方に出会った。 北海道 旭山動物園の元名誉園長 小菅正夫氏である。 さすが旭山動物園を世界一の動物園に仕立てた先生だ。 その理由。 「一番栄養があるためです。」 なるほど! スイカの種を考えるから,わからなかったのだ。 考えてみれば,我々は多くの種を食べている。 米,トウモロコシ,栗,大豆。 すべて種である。 大豆を原料としたものには,味噌,醤油,それに豆腐がある。 豆腐となれば,厚揚げも湯葉も元は種だ。 種は,命をつなぐものであるから栄養が豊富なのは当然なのである。 |
ところで日本では,種なしスイカを作る研究が行われている。 種を選り分けながら食べるのは面倒なためだ。 しかし,中国では種を大きくする研究が盛んという。 中国では,スイカの種を炒ったものを歯で割って食べる。 おやつとして食べるのだ。 そのため中国人は,前歯の先がくぼんでいる方が多い。 同じ種でも,国が代われば扱いが異なることがわかる。 |
![]() 日本では,種なしスイカを作る研究が行われている。 |