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歯のふしぎ博物館
館長 岡崎好秀
(岡山大学病院 小児歯科)
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▲奈良の伝統行事に
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奈良の秋の伝統行事といえば、天然記念物である鹿の角切りがある。 江戸時代の初期より300年以上受け継がれてきた。 角は、オスのシンボルである。(注:ニホンジカ) 喧嘩は,まず角をお互いに見せつける。 決着がつかないとそれで攻撃する。 |
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▲乳歯のように生え代わる
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さてこの角、乳歯のように生え代わる。 骨の上に角質のサヤで被われているだけなのだ。 生まれた時にはまだないが、 次の年にはゴボウのような角が生えてくる。 まるで袋に被われたようで血が通い柔らかい。 これを“袋角”と言う。 血液がカルシウムを送り、植物のように伸びて行く。 秋には、覆っていた皮膚がはがれて角が完成する。 でもこの年、枝分かれはまだしていない。 そして春先には、ボロッと抜け落ち 下から新しい角が生えてくる。 今度は、一つ枝分かれをした角である。 さらに次の春には、二つに分かれた角が生えるのだ。 こうして四つになったら終了となり、 以後年ごとに太く長くなる。 |