“小児歯科”というと,“子どもが泣いて・暴れてたいへんでしょう・・・!” ”あんなに泣かれて腹が立ちませんか・・・・?”と言われます。 でも,自分が下手だから子どもが泣いたのだ!”と考えるようにしています。 こう考えると,泣かさないための工夫が必要ですし,それを考えることが自分の臨床の向上につながると思っています。 ところで最近やっと,子どもにどれだけ泣かれようと,まったく平気になりました。 この境地に立つまで20年もかかってしまいました。 「もうちょっと,ジーッとしてくれたら・・,もうちょっと,大きな口を開けてくれたら・・・・やりやすいのにな・・・。 それなのに(子どもが)動いた・・,だから失敗した・・・・などと考えてしまうと,腹が立ってしまいます。 一小児歯科医の私でも,このように思うのですから,他の先生はさぞかしたいへんでしょう。 多くの先生は,ジーッとしてくれない子どもは,悪者にしがちです。 でも,子どもを悪者にすると,その子はいつのまにか来てくれない患者さんになってしまいます。 乳歯と永久歯のむし歯は,強い相関関係があります。 だから,乳歯のむし歯を単に削ってつめるだけでは,永久歯の健康は獲得できません。 乳歯を治療した後は,定期健診を行うことで,口の中の状態を変化させ始めて可能となります。 だからこそ,いつまでも来ていただけるような関係が大切なのです。 だから私は,どんなに泣いても大暴れしても,“悪いのはむし歯だ!むし歯を作った背景だ!”と思うようにしています。 こう考えると,絶対腹が立ちません。 ところで“患者さん”の“患”の字は,“心に串を刺す。”と書くでしょう。 この串を上手に抜いてあげるのが,私たちの役割だと思っています。 私は,むし歯だらけの乳歯を診るたびに, この子の将来の口の中をイメージするようにしています。 それは80歳で28本の歯が残っている口です。 この子を,将来,このような口にしたい! そのために,今,どのような診療をすればよいか? あるいは,保護者に,どのように伝えるか? さらには,どのような関係を持てば,この子がわかってくれるだろう? そして,いつまでも来てくれるだろう? さらには,対社会的にはどのような活動をすればよいか? このホームページも,その社会的な活動の一つです。 こう考えれば,おのずと一歯科医師として,大切にしなければならないことはみえてきます。 “子どもだから・・”ではなく“子どもだからこそ・・・・” しておくべきこと,考えておかなければならないことは,たくさんあります。 これは,健康な子ども達ばかりでなく,障害を持っている子ども達でも同じです。 *****************************岡崎好秀 |