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2004年活動記録

    2004年8月31日~9月6日
    日本人6(+3)名、エネレルスタッフ計33名
     21県歯科医師計19名(19県の歯科医師)
    日本人参加者;河見、米花、緒方(歯科衛生士)
    堀、徳永、黒田(歯科医師)、
     (プロジェクト2日間だけ参加;金尾先生、西田先生、岡崎先生)
 今回も「予防プロジェクト」は、2年目の歯科医師デジゲルツエツエグ(デギー)先生が責任者になり、準備の段階からエネレルスタッフがとてもよくがんばってくれました。これまでの予防プロジェクト会議は、私達日本人が、モンゴル到着後2日ほどかけて準備しなければ間に合わなかったのに、ここ2年はエネレルスタッフのみで事前準備から当日運営までほとんど滞りなくできるようになっています。もちろん、2ヶ月ほど前から電話・FAX・メール等で日本とモンゴルの間でのやり取りをしていることと,ツアサン(イチン先生の娘で、今年4月から岡大歯学部に入学)が日本にいて翻訳してくれることもありますが、エネレルスタッフの成長は目を見張るものがあります。
 歯科医療だけでなく、このようなプロジェクト会議の準備・開催等も自立して行なえるようになってきたことに、将来の発展に向け心強い限りです。

・「予防プロジェクト」;
 参加県は19県、エネレルスタッフ33人、日本人9人の計61人でした。昨年は実父の病気の為来られなかった先生が、今年は見えられました。あと2県は連絡が取れないままです。今年は技工士をしていたオトゴンツヤさんがいないこともあって、日本語ができるエネレルスタッフが(オユンナさん、ボロルチメグさん、サラトーヤさん、ネルグイ先生、ツアサン)が、各グループリーダーとなり、活動を進めました。
 今年の課題は昨年同様、5年目(6歳になった対象児)に各県で実施された検診結果(エネレルに送られてきた検診用紙を3年目のインヒザヤ先生がコンピューター入力し、齲蝕罹患グラフを印刷してくれた)と予防 活動の報告を写真入りポスター(模造紙大)で作ること。各グループで代表1県を選び、8分の持ち時間で発表・コンテストを行うこと。次年度の対象児が7歳になるので、これまでのまとめも兼ねて[OS―TIME(歯牙表面砂糖停滞時間)]を用いた虫歯予防指導用媒体作りとグループ代表者による実演・コンテスト。さらに実体験として、孤児院で代表2名による虫歯予防指導の実践。また、孤児院において日本から寄贈された救急車を用いての訪問歯科治療の実演。ポスター作りにおいても、エネレルスタッフの御手伝いぶりはすばらしく、逆に21県の先生の中にはほとんどお任せっぱなしという不満もありましたが、かなりな年配の先生方には限られた時間の中で課題をこなしていくには少々無理があるようでした。その他、セミナーのテーマとしては以下の内容で行なっています。
 7月の活動報告書でも記したように、モンゴルとの歯科医療交流活動の一つとして受け入れたモンゴル人(ツアサン)岡山大学歯学部学生によるセミナー原稿(事前準備できたもの)のモンゴル語訳とパワーポイントによるスライドの現地への提供は、やりっぱなしのセミナーから事後の再学習や他モンゴル人への学習機会の提供等へと新たな展開を期待できます。
・「モンゴル語版スライドで「母親教室(小児の虫歯予防講話)」;サラントーヤ歯科看護婦
・「モンゴル語吹き替え版ビデオ発表;オーラルハイジーンへの道」;イチン先生と黒田
・「小児期からの咬合誘導」;徳永先生、
・「部分床義歯の設計」;堀先生、
・「ようこそモンゴル歯の不思議博物館へ」;岡崎先生、
・モンゴル語版ビデオ「小児歯科治療時の歯科医師の姿勢とアシストによる固定実演」
                                      ;黒田とイチン先生、
・ 「掃除機で作る簡単ポータブルバキューム装置の展示・解説」;黒田
 また、来年度の最終プロジェクト会議(第6回)の課題提案として、以下の内容を提示しました。
・検診データ(7歳児の検診・アンケート結果)の分析と評価、及び5年間のまとめ
・「予防プロジェクト5ヵ年」のまとめ本を出版;印刷物はモンゴル国内で出版
・虫歯予防のパンフレット(予防冊子)の出版
・虫歯予防のポスター印刷
・予防媒体コンテスト;各県からアシストする歯科看護婦1名をも招待し、オリジナル
予防媒体を持ち寄ってコンテストを開催 
・今後のプロジェクトの決定;5ヵ年計画の今プロジェクトが終了するが、今後はこのネットワークを継続し新たなプロジェクトを彼ら自身で話し合い、設定してもらう。
 3日目はバスで近郊(ヌフト)へ移動し、ポスター作成と発表コンテストを行い、例年通り大交流会も行って交流を深めています。青空の下、草原でのグループ対抗ゲームには驚くほどの勝負へのこだわりに、モンゴル人気質を見る思いでした。
・ 救急車での孤児院設訪問歯科治療
 昨年から、柏原市とロータリークラブから寄贈を受けた救急車で訪問歯科治療を行っていますが、エネレルスタッフだけでなく21県の先生方にもこうした活動を知ってもらうため、企画しました。この孤児院へは、これまでも検診や予防保健指導で何度も訪れていますが、歯科治療は初めてです。今回は、今年度「予防プロジェクト」対象となる7歳児18名の軽度虫歯の治療・予防処置を行ないました。
 モンゴルでは歯科診療所の私設開業が認められてから、歯科医師の都市部への集中が始まり、郡部に住むモンゴル人の歯科受診の機会はますます遠いものとなっています。一方どんな田舎へも砂糖含有嗜好品の広がりは急速で、遊牧民にも虫歯や歯周病は急増してきています。社会主義時代は郡部に配置されていた歯科医師が、夏の間に田舎を回り巡回歯科治療を行なっていたそうですが、体制変換後はほとんど行なわれなくなっているようです。今後、人口密度が1平方キロメートルあたり1.6人というモンゴルで、定点を決めながらの巡回歯科治療はどうしても必要となってくると思われます。そのことも考え、今年度も4名の歯科医師新規採用を行い準備を進めています。・ エネレルスタッフとの交流;
 今年は新しい企画として、エネレルスタッフ(25名が参加)と日本人参加者がバガノール(7月の活動時にも行った炭鉱の町郊外のキャンプ場)に出かけ、交流を深める一泊ツアーを組みました。2台の車に分乗し、川のそばのキャンプ地でみんなで遊んだり、ゲームをしたり、話し込んだりと楽しいひと時を過ごしました。日頃見えてこない一人一人の顔が、お互いに親しくなることでより身近なものとなったように思います。
 その後9月中旬から、元NHKアナウンサー宮田氏が3週間、週3回の日本語講習をエネレルスタッフ対象に実施中ですが、診療後の夜7時からという時間にもかかわらず参加者が25名もいるということも、もっと日本を知り日本語で話せるようになりたいという意欲に繋がったと思われます。
 (今回はサヨナラパーテイで参加者したエネレルスタッフから感想を聞き、同時通訳してもらった内容を書き留めたので、早く文章にできました。しかし、参加者の中座等で全員からは聞きと取りできませんでした。)
① 歯科医師(2ヶ月)
セミナーに初めて参加。このセミナーはとても効果的で成果がみられるようにみえた。
② 歯科医師(10日)
セミナーに初めて参加。講義がとてもよかった。もっとたくさんの人を含めて活動すればいい。
③ 歯科看護師(1年)
2回目のセミナー。とても効果的。これからもたくさんの人々、21県全部でしたい。
④ 歯科医師(2ヶ月)
初めて参加。講義はとても興味深いものだった。セミナーを受ける21県の代表はがんばる先生を呼んだ方がもっと成果が上がる。
⑤ 歯科医師(2年)
セミナー担当者。とても早く終わった。講義はとても興味深かった。
エネレルのスタッフは時間を守っていなかった。21県の先生は講義を静聴してほしかった。
⑥ 歯科看護師(8年)
5回目のプロジェクトが無事に終わってよかった。21県の先生たちはみんなで続けていこうという気持ちは当然あるが、本当にこれからも続けていくかどうかはもっと意見を聞いてからの方が効率が上がると思う。
⑦ 経営(2年)
セミナーにはあまり参加していないがバックの仕事をしていた。このプロジェクトはエネレルにとってプラスになっていると思う。このセミナーを日本と一緒にやっていることを嬉しく思う。
しかしエネレルのスタッフも21県の先生も積極的に参加していないと思う。
セミナー3日目のポスター発表の結果、先生たちの意見がバラバラで大変だったので審査員を決めてすればいいと思う。
セミナーでやったことをエネレルスタッフはやっていない。
毎年日本人が働いて疲れて帰るので私達に手伝えることがあればいいと思う。
⑧ 歯科看護師(1年)
自分にとって効果的なセミナーだった。講義の内容、テクニックがじょうずだった。
⑨ エンジニア(3年)
出たり入ったりでセミナーに参加。去年も今年もポスターをやったので毎年発表のしかたを考えたらおもしろいと思う。参加証明書を渡すとき本当にわかっているかどうか日本人が試験をしたらどうか。
これからも歯科医師たちにもっと積極的に参加してほしい。
⑩ 歯科医師(9年)
今まで5回のセミナーは効果があったと思う。日本人がエネレルのスタッフと1県ずつ行くのは大変。
21県から呼んでセミナーをすれば一度に広範囲に効果が上がるいいやり方だと思った。
21県の先生たちは治療のことは知っていたが予防のことはあまり知らなかった。このセミナーで予防のことも解ったと思う。堀・徳永先生の講義は興味深かった。聞きたいことがあったが時間がなかった。
予防のことはたくさん勉強してきた。今後治療のプロジェクトをしたらどうか。
これからは歯並びのこと、咬合誘導など必要だと思う。日本人から教わることがたくさんある。
来るたびに新しいことを教えてもらえる。感謝している。
エネレルスタッフも多くなってきたので幼稚園へ行って予防指導を行ないたいと思う。
ウランバートルの歯科医師からもいろいろ教えてほしいという声を聞く。
来年までに幼稚園でやった成果を報告したい。
⑪ 歯科医師(2年)
セミナーに参加して3年目。この予防プロジェクトはいいものだと思う。
モンゴルにとっても経済的にもとても大切なことだと思う。
21県を通じてまだ効果は届いていないが今の場合難しいと思う。もっとやった方がいい。
私達にとって日本人から学ぶことは専門のことだけではなく他のこともたくさんあるので続けてほしい。
⑫ 事務(6年)
バックの仕事をしていて参加できなかった。予防プロジェクトはがんばっている先生もいれば、がんばっていない先生もいる。ノートをプレゼントしても使っている人があまりいなかった。
これからの活動にはもっと若い、積極的な先生をよんだ方がいい。
日本人が一生懸命がんばっていることに感謝している。
⑬ 歯科看護師(1年)
去年は1日だけ参加。今年はとても興味深いものだった。
21県の先生ばかりでなく看護師もよんだ方がいいと思う。(若い考え方もあるし)
エネレルの休みにフブスグル県(出身)に行くのでそこで子どもたちに予防の話をするつもり。
⑭ 歯科看護師(1年)
2回目のセミナー。治療はしていたが予防についてはあまり知らなかった。21県の先生だけでなくウランバートルにいる歯科医師たちも協力して行えばどうでしょう。
⑮ 歯科技工士(2年)
2回目のセミナー。効果はみられる。しかし21県の先生の写真をみていて歯を磨いている子どもたちの写真は本当にやっているかどうか疑わしいものがある。
歯科看護師がもっと増えて21県に分布すればいいと思った。もっと歯ブラシを渡してその時だけでなく毎日使うようになればいい。
全国に放送される番組で放送すればたくさんの人が知ることになり効率が上がる。
来年歯科看護師たちと一緒に来るという考え方はとてもいいと思う。もっとたくさんの人たちを含んで教えられるし、歯科医師は治療ばかりで予防はしなかった。その人たちが歯科看護師にいろいろ教えて小さい時から予防できればいい。
⑯ 歯科技工士(1年)
初めてのセミナー。とてもおもしろかった。いいセミナーだと思った。21県の先生が本当にやっているかどうか言い切るのは難しいこと。ビデオなどで撮ってきたらもっと確かだと思う。
⑰ 歯科技工士(5年)
病気で積極的に参加できなかった。来年は全力でがんばる。21県の先生が本当にやっているかどうか評価するのはそんなに問題ではない。エネレルのスタッフが夏休みをとっていろんな県に出かけて病院をたずねて報告。それでプロジェクトを続けていくかどうか決めればいい。
特に堀先生の講義はとてもおもしろかった。
  <予防プロジェクト第5回会議>

<1日目;ウランバートル ホテルで>

昨年度(第4回)プロジェクト会議の様子をスライドショーで報告各県から事前に送付された6歳児の検診・アンケート結果を報告するインヒザヤ先生
各県からの「予防プロジェクト活動」取り組み報告

セミナー ; モンゴル語版「母親教室(小児期の虫歯予防教室)」
                            サラントーヤ歯科看護婦

  予防プロジェクトをテレビ取材   ウランバートル ホテル大食堂で参加者全員で昼食

7歳児用予防媒体の説明>

各グループで予防媒体の作成(手際のよいエネレルスタッフの手伝い)

各グループ代表が作成した媒体を使って予防指導のデモ

プロジェクト会議2日目;エネレルのセミナー室で>

・4つのテーマでセミナー
・孤児院での活動体験

<プロジェクト会議2日目>

 孤児院で、救急車の中で訪問歯科治療と7才児用虫歯予防媒体を用いての体験実習

1日目のコンテストで選ばれた2つの県の歯科医師を中心に、7歳児への予防指導実体験

<プロジェクト3日目>ヌフト ホテル(元迎賓館)で

・ポスター作成とコンテスト
・グループ対抗大交流会
・終了式

ループ毎にポスター作成  完成ペアで記念写真 (21県医師とエネレルスタッフ)

<3日目;全員で昼食>

バガノールのキャンプ場でエネレルスタッフと交流>

(1泊2日の旅、日本人6人、エネレルスタッフ25人)

<9月5日エネレルにて「サヨナラパーティー」>