メニュー

2003年活動記録 

    2003年9月3日~9月10日
    日本人5名、エネレルスタッフ計30名、21県歯科医師計18名(18県の歯科医師)
別紙資料参照
(①活動経過(日程)、②日本人参加者名簿、③18県歯科医師感想文(未翻訳)、④エネレルスタッフ感想文(未翻訳)、⑤各県ポスター日本語版(未翻訳))
 今回は、準備の段階からエネレルスタッフに頑張ってもらったおかげで、日本人参加者が5名しかいなかったにもかかわらず、全て予定時間内でスムーズに進みました。以前と比べ、日本とモンゴルとの間の連絡が電話・FAX・メールと実に簡単になった事、エネレルスタッフの成長でかなりの準備部分が任せられるようになったこと、事前に新人を含めたエネレルスタッフにイチンさんと来日経験者から日本との交流経過や予防プロジェクトの意義と目的と役割等を語ってもらったこと、予防プロジェクトの現地での準備期間を2日取った事も、余裕を持って行えた理由だと思います。
・「予防プロジェクト」;
参加県は18県、エネレルスタッフ25人、日本人5人の計48人でした。あと1県は検診結果用紙は送られてきたが参加がなく、あと2県は連絡が取れませんでした。
例年通り21県とエネレルスタッフと日本人参加者を5グループに分け、グループリーダーをエネレル歯科看護婦オユンナさんとサラさんとツォモさん、歯科技工士のオトゴンツヤさんとボロルチメグさんとしました。来日研修経験のある歯科医師アルタンゲレル先生(結婚して来日中)とネルグイ先生(産休中)がいない現在、同じく来日経験のあるオユンナさんとオトゴンツヤさんとボロルチメグさん、今年度12月から2月まで来日研修予定のサラさん、そして今後への期待の高いツォモさんの成長を期待した人選です。
 今年の課題は、4年目を迎えた検診結果(カラー印刷した齲蝕罹患グラフ2枚)と予防活動の報告を写真入りポスター(模造紙大)で作り、各県8分の持ち時間で発表しコンテストを行ったこと。次年度の対象児が6歳になるので、6歳臼歯の虫歯予防を焦点とした予防媒体作りと実演(1軒のみ選抜で)を行いました。これまで、間違いの多い検診結果用紙や実際に活動を実践しているには具体的質問が少なかったことなどから、はたして各県では本当にプロジェクト活動がどこまで行われているのか心配をしていました。しかし今回、提供したインスタントカメラで活動風景を撮ってもらってきたこと、下書き用紙にペアとなったエネレルスタッフが聞き取りで書き込んでからポスター作りを行ったにより、予想以上に各歯科医師ががんばっていることがわかり感心しました。
その他、小児歯科治療(治療時の歯科医師の姿勢、ラバーダムの有用性、乳歯冠の作製)と6歳臼歯の予防処置(シーラント)についての講義、さらに日常診療の中での様々な疑問について質疑応答を行いました。
 また、3日目はバスで近郊へ移動し、ゲルのなかでポスター発表コンテストを行い、例年通り大交流会も行って交流を深めています。
今年は、手違いもあって全員での郊外での宿泊交流ができなかった事は残念でしたが、 各課題をエネレルスタッフとペアで取り組んでいく事で、モンゴル人間での交流は更に進んだようです。
 リーダーの5人は予想以上の活躍で、役割を果たしてくれました。特に今年6月から入った8人の新入職員に対する面倒見のよさは感心させられます。
各県の先生は、出来上がったポスターを持って帰り、地元で活動協力者はもちろん、医療関係者、教育関係者、行政、メデイア等へ報告を行う事も宿題としました。
・ 救急車での障害者施設訪問治療
 8月に佐藤さんのご尽力で、柏原市とロータリークラブから寄贈を受けた救急車で、郊外の障害者施設へ出かけて障害児(3~18歳の知的障害者24人)にハミガキ指導、歯科検診、治療を行いました。今年4月にエネレル歯科看護婦のオユンナさんが、友人の依頼で一度ブラッシングに出かけた施設です。成人もいるかなり大きな施設ですが、今回は小児棟を対象としました。口腔内は深刻な状態で、歯磨きはしているとの事ですが、プラークと出血、歯石がいっぱいでした。虫歯も28本全部残根状態の子もいれば、1本もない子もいます。しかし、歯磨きに慣れていないため、開口しない、口腔周囲筋や舌の緊張が著しい等もあり、検診も大変でした。治療も、まだ全身状態の問診が十分取れていなかったこともあり、デンタルX-ray撮影、C2へのアイオノマー充填とサフォライド塗布、スケーリング程度で終わりました。
 現在のモンゴルでは、障害者の歯科治療は勿論、施設での歯科保健予防活動も行われたことがないようで、施設職員からの感謝と期待は大きいものが有るようです。
 この活動はモンゴルテレビの取材を受け、現地の6時のニュースで放映されました。
 この訪問治療で使用した器具は、ポルタケアとポータブルレントゲンは日生協医療部会から、YAMAHAの発電機は川西市歯科医師会から、アイオノマーセメントは(株)ジーシーから、その他多くのものが寄贈して頂いたものです。ありがとうございました。
 交流当初から夢に描いていた地方の遊牧民(歯科医師のいる町まで馬で1日以上もかかる)への巡回歯科治療と保健予防指導が実現するのもまもなくです。
・ エネレルスタッフへの研修・実習
 協同歯科で作成したビデオを用いて「小児歯科治療時における診療補助(2人目、3人目のアシスタントの動きと働き)のあり方」と、「患者の待ち時間を減らす、受付も含めたアポイントのとり方と工夫」について河見さんから協同歯科研修を行ってもらいました。
 また、変色無髄歯の漂白法(Walking Bleach法)についての講義と35%H2O2+過ほう酸ナトリウムの混和実習も行っています。モンゴルでも外傷による前歯部歯髄失活による変色歯が多いのですが、これまでその漂白法は材料のこともあって行われていませんでした。
 例年通り難症例の患者コンサルトも行い、今年はさらに2年目の先生の持ち患者から1名づつアポイントを取って直接治療指導を行いました。①生切後の乳歯冠、②デンチャーの印象採得、③上顎6番の抜髄、④生切1回目。これまでのセミナーによる講義だけでは、実際の臨床ではうまくいかないことも多く実地指導が望まれてきています。
 日本人1人分のみ、他はまだ未提出。18県とエネレルスタッフ分は翻訳中。
 日本人参加者の感想は以下の通りです。今年はSARZ騒動の影響で参加者が非常に少なくなりました。その分何度も参加して状況のよく理解できているメンバーだったので、モンゴル人に合わせた活動に徹することができました。
 しかし、将来も踏まえた大きな目的を考えると、日本人参加者との交流(できれば1グループ3人ぐらいは欲しかった)が少なかったことは否めない、と思います。
(古田さん);今年は短かったこともあり、簡単な感想しかのべられませんが、とにかく毎日を通して、エネレルのスタッフの成長に驚くばかりでした。媒体作りの時も、それぞれに役割をスムーズにきめ口を出さなくても、きちんと事を進めていました。21県の先生も慣れてきたのだと思いますが。ただ、媒体に関してはまだ、こちらで考えた内容をまねてつくってもらっていますので、そろそろ、各県独自の発想で、モンゴル人の、媒体作りをしてみてもらっても面白いかなーと思います。(時間が心配ですが)
 各県の発表は各県での取り組みの違いが分かり良かったと思います。差が生じてますが、どの県もそれぞれに、頑張っていると感じます。こなかった同じ県の先生には、手紙を書いてみようと思っています。
 今後の日本人参加者の課題は何だろうと思いました。何を伝えることができるのか・・とりあえず、私は続ける事でしょうか。モンゴル語を来年また上達し、日本語の話せないスタッフとの交流をもちたいです。モンゴル人DHと、DHという仕事について語り合ってみたいです。

活動報告から